2011年2月7日月曜日

続き

オイラーの多面体の定理というのがある。
「凸多面体の頂点、辺、面の数をそれぞれ、 v , e , f とするとき
v-e+f=2
が成り立つ」
千葉大公開講座「コホモロジー」のテキストを読むまではこれはありきたりの幾何学の定理に過ぎなかった。
ところがこのテキストでは続く本格的な解説と呼吸を合わせて、オイラー・ポアンカレの定理とはトポロジーの計量であると語り始めると、それまでの鬱蒼とした抽象の羅列がいかにも幾何学らしく立体的に可視化されるようになる。geometrizeの真髄を見ている気分だから嬉しくなる。

オイラー・ポアンカレ標数が境界作用素と多面体定理を結びつける。
トーラスの穴の数による多様体の分類がホモロジーの計量を決める。
そしてすぐさま種数でなくても多様体をメイヤー・ヴィートリス系列のように無次元化した周回するサイクルが0から極大を経て再び0になって抜けるかを見るオイラー数に似たホモロジーが決められることになる。
子供の絵本にもあるこの最初の六ページだけで実は飛びついて買う価値があった。
(注)The Mayer–Vietoris sequence for reduced homology groups then yields

 \cdots\rightarrow 0 \rightarrow \tilde{H}_{n}\left(S^k\right) \xrightarrow{\partial_*}\, \tilde{H}_{n-1}\left(S^{k-1}\right) \rightarrow 0 \rightarrow \cdots \!

しかし、こんな薄っぺらな本のすっ飛ばした説明で、代数多様体の抽象的な現代数学を解説できるはずがない。ありきたりのコーヒーカップとドーナツの図版もある。やめとこう。
そう思って一旦は書棚に戻した。
これで買わなかったらコホモロジーを知ることはなかっただったろう。

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